気になるスキューバダイビングガイド

ダイビングの基本・耳抜きの仕方

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スキューバダイビングにおいて、耳抜きができるかどうかはとても大事なポイント。耳抜きができないとどんなデメリットがあって、どうすれば上手に耳抜きができるのかなどについて解説していきます。

耳抜きって何?

飛行機が急な上昇や下降をする時や高層ビルのエレベーターに乗った時などに耳がキーンとしてこもったような状態になったことはありませんか? これと同じことがスキューバダイビングでも起こり、多くの人が水圧の変化によって耳の違和感、閉塞感、耳の痛みなどを体験するのです。これを解消するのが耳抜き。

耳抜きを行わないまま潜水を続けると潜水性中耳炎になりやすくなってしまい、ひどい場合は鼓膜穿孔(鼓膜に穴が開く)や裂傷(傷がつく)を引き起こすこともあるので注意が必要なんです。

耳抜きとは鼓膜の内側と外側の圧力の差をなくすための方法のこと。上手く耳抜きを行うことができれば、鼻の奥にある耳管口が開閉して、鼓膜の内側にある中耳に空気が入って圧力差が解消されるのです。

スキューバダイビング中は耳抜きができないと難聴やめまいが起こり、トラブルにつながることもあります。最初からうまく耳が抜けるという人は決して多くはないので、まずはそのコツをつかむようにしましょう。

基本的な耳抜きの方法

ダイビングライセンス習得の際に教わることが多い耳抜きの方法は、バルサルバ法と呼ばれるもの。次のような順番で行います。

  1. 口から息を吸って、息を止める。
  2. 鼻を指でつまんで空気が漏れないように。口も閉じる。
  3. 空気を鼻から耳のほうに送り込むように意識する。
  4. 耳の中で空気がシュッと入り込んだら耳抜き成功です。

人によってコツは異なりますが、「2」では目から空気が抜けることがあるので目も閉じるようにしてくださいね。

「3」は慣れるまではじわじわと空気を送り込んだ方が成功率が高くなるはず。そして耳抜きは耳に違和感があったらすぐに行うようにしてください。できれば1m深くなるごとに耳抜きをしたほうが良いですね。水深が深くなってからだと抜けにくくなり、痛くなることがあるので注意してください。

耳抜きができない時は少し上昇して水深を浅くしてからやり直してみるといいですよ。片方だけ抜けてもう一方がうまく抜けない時は、抜けない方の耳を上にして耳抜きしてみてくださいね。

バルサルバ法以外には、つばを飲み込む、あごを動かすといった方法で耳抜きができる人もいます。また、睡眠不足や体調不良は耳が抜けづらくなる傾向があるので、体調管理は万全に。さらにアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などがある人も耳抜きが難しくなるので、耳鼻咽喉科に相談してみることをおすすめします。

耳抜きは地上でも練習できる!?

耳抜きのコツを体得するために、地上で練習してみたいという人もいるかもしれませんが、地上でバルサルバ法をむやみに連続して試していると耳が痛くなることがあります。
いきんで耳に急速に息を送るのも危険。特に耳や鼻に持病がある人は内耳などを痛めてしまうことがあるので注意を。

それでも練習をしたい人は「オトヴェント」という練習用器具を試してみてください。これは耳鼻咽喉科でもすすめられることのある自己耳管通気器具で、もともとは子供に多い中耳内に水が溜まる中耳炎治療用の治療器具のことです。

実はスキューバダイビングの耳抜きと原理が同じなので、これで練習すれば耳抜きのコツをマスターできるはず。やり方は片耳を指で塞ぎ、逆側の鼻孔にノーズピースを当てて、風船をゆっくりとふくらませるというものです。

ダイビング中に頭が痛くなるという人は、耳抜きがちゃんとできていない可能性があります。痛みはないけれど耳抜きできているかよくわからないまま潜っていたら耳が聞こえづらくなったという人も。耳抜きが得意になればスキューバダイビングは格段に楽しくなるので、ぜひコツをつかんで、上手な耳抜きをマスターしてくださいね。

投稿者プロフィール

赤木和義
赤木和義
1979年生まれ。福岡県出身。18歳でダイビングライセンスを取得。2002年からインストラクターとして活動。今までに初級、中級ライセンスの発行人数は1000名を越す。