気になるスキューバダイビングガイド

ダイビングの基本・呼吸法について

breathing

水中での呼吸法はスキューバダイビングの基本中の基本! それと同時に、中級者や上級者であっても決して侮ってはいけない最も重要なスキルでもあるんです。今回はダイバーなら絶対にマスターすべきダイビングの呼吸法について解説していきます。

ダイビング中は口で呼吸を続ける

スキューバダイビングではマウスピースを口でくわえ、レギュレーターで呼吸をします。ダイビング中は常に口で呼吸し続けなければいけません。なぜなら鼻で呼吸をすると、マスクの中に水が入ってきてしまったり、曇ってしまうから。

ただ、初心者はこのレギュレーターを使った呼吸に抵抗を感じることが多く、なかなか自然に口呼吸を続けることができないんです。普段呼吸をしているように、鼻から空気を吸ってしまい、マスクに水が入ってパニックになってしまった……という話はよくあります。

レギュレーターで呼吸するときのポイントは「大きくゆっくりとした呼吸」をすること。どの程度大きく、どれくらいゆっくりなのかは個人差もありますが、イメージとしては深呼吸をする感覚ですね。

深呼吸は息を吸ったら、普通は同じ量の息を吐くはずです。ダイビングの呼吸でもこの「息を吐き切ること」が大切で、例えば空気を10吸ったあとは極力10吐くようにします。
もしも10吸って5しか吐かないまま呼吸を続けると、だんだん息が苦しくなってきてしまいます。これは地上でも簡単に試すことができるのでぜひやってみてくださいね。

ゆっくりとしたリズムで、吸って吐き切る、口による呼吸を続けるには、腹式呼吸を行うのが楽ちん。ボイストレーニングなどをしていて普段から腹式呼吸に慣れている人ならコツがつかみやすいはずです。

ただ、必ずしも腹式呼吸でなければいけないわけではないので、慣れていない人はやり方をつかむために少し意識してみるようにする程度がいいかもしれませんね。

息苦しくなったらどうする?

ダイビング中に万が一、息苦しさを感じたらどうすればいいのでしょう?
まずは基本である「大きくゆっくりとした呼吸」を思い出してください。息を吐き切ることも忘れずに。息苦しくなるのはメンタル面も大きいので、何か動かないものにつかまって動作を止めて気持ちを落ち着かせることも大切です。息苦しさを感じて不安になると呼吸が浅く速くなりがち。過呼吸ぎみになると手足のしびれなどが起きることもあり、そのことがまた不安を呼び起こしかねません。

パニックになりそうな時ほど「大きくゆっくりとした呼吸」と「吸った息は吐き切る」という2つをきちんと実行するようにしてくださいね。

また、耳に違和感があったら早め早めに耳抜きを行うことも必要。耳痛を放置しておくとひどい頭痛や、場合によってはめまいに発展することも。耳抜きは次のような順番で行ってください。

  1. 口から息を吸って、息を止める。
  2. 鼻を指でつまんで空気が漏れないように。口も閉じる。
  3. 鼻をかむような感じゆっくり鼻に空気を送る。
  4. 耳管が開いて中耳に空気が通る感覚を意識する。

呼吸は絶対に止めてはいけない

素潜りであれば呼吸を止めて潜るので、スキューバダイビングでも最初はつい呼吸を止めてしまうという人もいます。しかしダイビング中に呼吸を止めることはともて危険。理由は、肺の過膨張による障害が起きやすくなるためで、これも体験ダイビングやライセンス講習で最初に習うことです。

肺の過膨張についての詳細なメカニズムはここでは省きますが、「水中、特に浮上中は息を止めずに普通に呼吸を続ける」、「急激な浮上はしない」という2つのルールを必ず守るようにしてください。特にパニック状況では息を止めやすくなるので、何かあった時は一旦泳ぎや動きを止め、深呼吸をし、それから浮上するか、とどまるかなどの行動を決めるようにしてください。

自宅で練習をしておこう

口呼吸は地上で練習することもできます。まず普通に椅子などに座って、口だけで大きくゆっくりとした呼吸、吐き切る呼吸を試してみましょう。陸上でのイメージトレーニングはとても役に立ちます。

次に、スノーケルを使った練習をするのも効果的。お風呂で、マスクはつけずにスノーケルだけを口にくわえて顔を沈めて口で呼吸をします。鼻呼吸をすると水が入ってきてしまうので、自然と口呼吸のコツがつかめてきます。スノーケルで口から空気を吸って鼻から水中へ吐くようにすれば、水中でマスクに入ってきた水を外へ抜くマスククリアの練習も行えるようになりますよ!

ダイビングにおける呼吸は独特のものなのでまずは頭の中でポイントを押さえ、実際に練習して慣れることが必要。ぜひダイビングの基本である呼吸法をマスターしてくださいね。

投稿者プロフィール

赤木和義
赤木和義
1979年生まれ。福岡県出身。18歳でダイビングライセンスを取得。2002年からインストラクターとして活動。今までに初級、中級ライセンスの発行人数は1000名を越す。